おさるの日記

感じること、思う事

娘のヒーローである「父」と、息子の聖母である「母」 

私の母親は扱いの難しい人ですが、

私の兄弟は私ほどそう思っていないので不思議です。

 

難しい人だという認識はあるのですが、

それで母親を憎むとか、そういう気持ちはないようです

性格の問題かもしれませんが、

やはりそこは男女の違いかもしれません。

 

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同性の親子と異性の親子は、扱いも感情も違います。

基本的に息子にとって母親は「聖母」です。

母親にとっても、息子は「かわいい私の息子」なのです。

 

逆に娘にとっては、父親はヒーローです。

自分のことを心配し、守り助けてくれる唯一の人です。

父親の方でも、

息子に対する思いと、娘に対する思いは違うのだと思います。

 

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私の父は71歳で亡くなりました。

 

父が亡くなった時、

「これで私を全力で助けてくれる人はいなくなった…」と思いました。

母親や夫はいますが、父親に対する思いとは何か違います。

 

実際の父は、いつもどんな時でも私を助けてくれたわけではありません。

その必要がないと思うこともあっただろうし、

助けたくないと思う時もあったかもしれません。

 

それでも娘である私は、

「父はどんな時でも必ず私を助けてくれる」と

思っていたのですから不思議です。

 

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親子とは不思議な関係です。

これほど愛憎乱れる思いを持つ相手は

「親」のほかにはありません。

 

我が子や配偶者には、

そこまでの思いを抱くことはありません。

また相手に期待することもありません。

 

配偶者は「最初は他人だった人」です。

離婚すれば「他人」になる人です。

そういう立場の人に、

そこまで期待してはいけないという気持ちがあります。

 

我が子に対しても同じかもしれません。

子供はいずれ、

母である私からは離れていく存在だと思っているからです。

 

子供が親を追い求める気持ちは、

ほかのどんな人にも向けることはない、

非常に特殊な感情なのかもしれません。

 

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「伊集院花子の生涯」

宮尾登美子の小説で、夏目雅子主演の有名な邦画ですが、

私が一番印象に残っているのは一番最後のシーンです。

 

亡くなった花子が出したハガキを、松恵(夏目雅子)が受け取ります。

そこには拙い字でこう書いてありました。

 

「おとうさん おねがい たすけて」

 

娘に裏切られた父・鬼政(仲代達矢)。

それでももし生きていたら、きっと娘を助けたと思います。

花子は父の死を知っていたのかどうなのか。

切なくて、忘れられない場面です。